fumi@ビジネス科学×化学のブログ

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化学系の学科や大学を目指す高校生が知っておくべき5つの注意点

 こんにちは。

 

もうすぐ新年度も始まり、今後の進路を考えている学生の方も多いと思います。

特に新高校三年生は、大学受験という大きな山場を迎えるにあたって、受験校、受験学科に頭を悩ませられているかもしれません。

 

特に学科は、将来の仕事にも関わってくるので重要な選択となる一方で、そこまで先のことがリアルに想像できず、漠然としたイメージになってしまう方も多いのではないでしょうか(医師や看護師などの専門職は別として)

本やネットで調べれば情報はたくさん得られます。ですが、どれも勉強や仕事の内容について書かれているものが多く、「自分がその道に進んだらどうなんだろう」といった具体的なイメージには落とし込むのは難しいです。

 

私もそうでした。

高校生の当時、他学科も含めて様々な情報ソースを使って調べましたが、自分がどんな大学生活を送るのか、どんな社会人としてのキャリアを築くのか、あまりイメージが湧きませんでした。

なので、確固たる理由で化学を専攻したわけではありません。

むしろ、そういう人の方がマジョリティでしょう。

 

そこで、「自分の大学受験前にこれを知っていたら良かったなぁ」と思う、大学の化学系学科、そして化学系の仕事に自分が進んでみて気づいたことを、5つの注意点として書きました。

「化学の道に進むと、こういう感じになるんだなぁ」というイメージ作りに、少しでもお役に立てたら幸いです。

 

~大学編~

1.物理からは逃れられない

初っ端から私個人の色が強くてごめんなさい…。

でも、高校の授業で物理が嫌いで大学で化学を専攻すればやらずに済む!と思っている方は高校生の私だけではないはずです。

化学系の学科に入れば専門の化学の勉強ばかりになり、物理や他の科目はやらなくていい、と。 

 

しかし、その願望はもろくも崩れ去ります。

まず、理系の大学では「基礎科目」という名目で、物理や数学の発展版の授業が各学科共通であります。

つまり、理系であれば誰でも物理(しかも高校より難しい)を大学入学してすぐに勉強しなければなりません。

ちなみに私は一応頑張りましたが、単位を取ることはできませんでした。

 

が、これで終わりではありません。

進級してより専門的な授業が始まりました。

が、そこで目にしたのは、熱力学や電磁気といった物理の授業のような板書や教科書でした。

そう。実は化学という学問には物理の知識が必要不可欠なのです。

 

例えば、ある化学反応が進行するかどうかを予測するには熱力学の知識が必要です。

また、最近ノーベル賞を受賞して話題になったリチウムイオン電池も、電気の知識がなければ、その業績のすごさを理解することすらできません。

 

なので、物理の重要性に気づいてからは心を入れ替えて、勉強するようにしています。

(それでも避けちゃうんですけどね)

なので、化学の道に進む以上は大学、社会人でも物理の勉強は続くと思ってください。

 

2.化学にも多くの分野がある

一口に化学系の学科と言っても、様々な専門分野に分かれています。

理学部、工学部などの区分はもちろんですが、実際に勉強や研究する対象は様々です。

無機化学有機化学、高分子化学、コロイド化学、電気化学、、、などなど。

それぞれの分野については一応、授業で用意されているケースが多いので、研究室所属までには各分野の大まかな内容を知ることができます

 

これらは学科単位で分かれている場合もありますが、所属する研究室によって自分の最初の専門が決まる場合が多いです。

高校の化学の授業で一部扱われるものもありますが、大学で初めて学べる分野も多く、高校化学とは段違いの専門性なので、正直私もまだよく分かっていない分野もあります。

 

さすがにこれらの細かい分野を大学入学までに絞り込むのは不可能に近いですし、そもそも一つの分野だけ勉強すれば平気なケースは稀です。

したがってこれらの専門分野は、まずは大学で勉強してから最初の専門を決めて 、キャリアを進めるにしたがって必要に応じて第二第三の専門分野を開拓するのがいいでしょう

 

3.大学の研究が忙しい

化学系の学科の研究室は、他の学科に比べて忙しい場合が多いです。

他の学問だと、建築、バイオあたりが最も忙しく、おそらくその次ぐらいです。

 

一口に忙しいと言っても、研究室によりけりです。

が、研究室によっては泊まり込みや土日も大学に行くことは日常茶飯事ということもあります。

私の所属していた研究室はそこまででもなかったですが、それでも平日は会社員のフルタイム勤務のような生活をしていました。

10時に研究室に着いて、8‐9時くらいまで作業していることが多かったと思います。

 

ただ、社会人と大きく違うのは、お金がもらえないこと(むしろ払ってる)。

時間もお金もない生活が、研究室所属の何年かは強いられます。

 

~社会人編~

4.職場が地方や田舎であることが多い

これが私にとっての最大の誤算でした。

これを受験前に知っていたら、他の学科に変えてたかもしれません。笑

 

化学の研究開発やプラント生産では、広大な土地や大掛かりな浄化装置が必要とされています。

つまり、首都圏でそんな土地や設備を用意できる場所なんてほぼないのです。

したがって、多くの化学メーカーは地方各所に開発拠点を置いていることが多いです。

 

関東であれば川崎、千葉など、関西であれば大阪、神戸あたりに拠点のあるメーカーもあるので、こういう企業に就職すれば都会ライフと両立できる可能性はあります。(他の拠点の可能性も高いけど)

ですが、多くの場合は三重、滋賀、山口、愛媛、宮崎、大分、などの、その地域の中でも聞いたことのないような名前の地域で働くことになります。

ホント、何もないところだったりもします。

 

なので、都会っ子は田舎勤務を十分に考慮に入れてから受験すべきです。

 

5.研究部門への配属は狭き門

化学の仕事、と聞くと「白衣を着てフラスコ振りながら研究する」イメージが強いかもしれません。

実はそういう仕事はごく一部であり、多くの企業では基礎研究部門や中央研究所と呼ばれる所での仕事になります。

 

 ちなみに各企業の基礎研究部門は首都圏あるいはその郊外にあることが多いです。

したがって、首都圏で暮らしたいがために研究部門を希望する人も少なくありません。

 

ですが、研究部門配属は非常に難しいのが現実です。

その理由として、希望者が多いことも挙げられますが、それ以上に研究所の社員数自体が少ないことが挙げられます。

 

会社の利益に直結し、かつ人手が必要な開発・生産部門には多くの社員が所属していますが、基礎研究部門は少数精鋭であることが多いです。

それは、会社の直近の利益に直結しないこともあり、企業としてもそこにお金をかけられないからです。

また、高い専門性や発想力、プロジェクト遂行力が求められるため、優秀な人に絞って所属させるという側面もあります。

 

なので、基礎研究部門に行けない可能性も十分あると思っていた方がいいでしょう。 

 

まとめ

 以上が、私の考える、大学受験前に知っておくべき化学の世界の5つの注意点になります。

なるべく私のリアルな経験と感想をベースに書こうとしたので、分からない部分が少々あるかもしれません。

ですが、化学系での大学、社会人のイメージが少しでも湧くようになれば幸いです。

海洋マイクロプラスチック問題解決のカギ!ポリ乳酸の現状

 

ネイチャーワークスジャパン PLA 海洋プラ問題で需要旺盛

https://www.chemicaldaily.co.jp/ネイチャーワークスジャパン%E3%80%80pla%E3%80%80海洋プラ/

 

ネイチャーワークスジャパンは、ポリ乳酸(PLA)の付加価値戦略を加速する。同事業は世界市場で年率1ケタ台後半の成長を継続しており、海洋プラごみ問題を背景に米国プラントはフル稼働が続く。そのためグループ全体でニート販売から高機能品やコンパウンド品といった付加価値品へシフトを強め、ポートフォリオの組み替えを急ぐ。日本ではPLAの透湿性や疎水性などの特徴を訴求しフィルムや繊維分野で用途開拓を推進。

 

ポリ乳酸は、言わずと知れた生分解性ポリマーの代表格で、環境に優しいプラスチック材料として長年注目され続けています。

名前は聞いたことある方もいるのではないかと思います。

 

ここ最近、海洋プラスチックごみの問題が大きく世界を騒がせています(なかなか衝撃的な写真だったのでインパクトも大きかったのでしょう)が、その代替材料として紙とともに検討されています。

 

しかし、このポリ乳酸、耐熱性や耐久性が他の材料に比べて劣るという致命的な欠点があります。これはプラスチック材料としては致命的で、これがネックとなって未だに普及するに至っていません。

ずっと期待はされているんですけどね。

最近は件の海洋ゴミ問題で注目が集まっているおかげで、販売も伸びてはいますが、元々の市場が小さいのでまだまだ様子見だとは思います。

 

 

 

 

 

混雑時にセルフレジを子供に使わせる親。他人の時間も大事にしてあげませんか?

先日のヤフーニュースでセルフレジについての記事がありました。

 

普及し始めた「セルフレジ」に並ぶ人と並ばない人 それぞれの主張(マネーポストWEB) - Yahoo!ニュース

 

ルフレジとは、お客さん自身が商品のスキャンを行って会計するレジのことで、人権施策減を目的として導入するお店が増えています。

 

orange-operation.jp

スーパーや駅のキオスクでちらほら見かけますし、最近ではユニクロが導入して話題になりました。

ユニクロのセルフレジはRFIDというタグを利用していてそれだけで結構面白いので、別の機会に記事を書こうかと思います。)

 

 

このニュースのコメント欄でもセルフレジについての賛否が議論されていましたが、私が気になったのは

 

「混雑している時に子供にバーコードスキャンさせるのは止めてほしい」

 

というコメントでした。

 

あの自分でピッてスキャンするのが楽しくて、それをやりたがる子供が多いそうです。

ただ、それをやらせるのは良いが、レジが混雑している時はやらせずに親がさっさとスキャンしてスムーズに会計を済ませてほしい、とのことでした。

 

全く持って、その通りだと思います。

 

「子供なんだからいいじゃん」とか「そんなに時間が惜しいなんて生き急ぎすぎてる」とかいうコメントもありましたが、自分や子供個人の娯楽のために他人の時間を浪費させるのはあまりに自己中心的ではないかと思います。

例えば赤の他人に「暇だから遊びに付き合って」と全く興味のない映画やお店に付き合わされたら嫌ですよね?

それと同じです。

 

言うなれば、他の人の時間を奪っているわけです。その時間で楽しいことをしたり有意義に過ごすことができたにも関わらず。

 

このように、まず親は「人の時間」を尊重すべきでしょう。そして人の時間はむやみに浪費させるべきではありません。

 

そして子供にもそれを教えてあげるのが理想でしょう。

今回の場合だったら「今日は混んでるから空いてるときにやらせてあげるね」と。

 

 確かにやりたがる子供の気持ちに応えたいという親心も分かりますし、混雑してても「たかが数分」と思ってしまう部分もあるのかもしれません。

それにダメと言ったら子供もぐずるかもしれませんし、そのままやらせてあげたほうが楽なのは間違いないでしょう。

 

しかしその子はその後どうなってしまうでしょうか。自分のために人は時間を割いてくれる。そんな自己中心的な考えが当たり前となってしまいませんか。

 そんな人間に周りの人は関わりたくないでしょう。

相手のことを大事にしない人のことを、一体誰が大事にするでしょうか。

 

そんな子に育ってほしいなんていう親はいないはずです。だからこそ、こういう経験を通して「人の時間を使う」という意識付けをして、相手を尊重できる人間になってもらおうとすることが大事かと思います。

子供であることは免罪符ではありません。

「子供だから別にいいじゃん」ではなく、「子供だからこそ教えてあげる」のです。

 

そういう他人を尊重して気を使ってあげられる人間に育てることこそが、正しい教育なのではないでしょうか。